【着付け】染織講座 沖縄の染と織・大島紬についての研修

 

87回目 染織り講座 沖縄の染と織・大島紬についての研修 
【助教授23回目】

2022/6/8 WED


【教科書】
ハクビ京都きもの学院『きもの教本 助教授・教授編』第1版, 東京, 株式会社ハクビ, 2020, 144p

やったこと

  • 染織講座で講義形式の授業
  • 先生方のコーディネートの紹介

沖縄の染織物について

喜如嘉の芭蕉布

糸芭蕉の栽培から繊維取り、糸績み、絣括りなどを経て織りに至る。喜如嘉の女性たちの手作業。かつては沖縄全域で織られていたが、現在は喜如嘉のみ。
http://bashofu.jp/about.html
引用:喜如嘉の芭蕉布(http://bashofu.jp/about.html

知花花織

古くは五穀豊穣などを祈るウスデーク祭に着用された女性たちの花織衣装。知花花織は経浮花織。模様となる経糸の綜絖を手で持ち上げてフックにかけ緯糸を折り込むのが他の織物に比べて珍しい技法。
https://www.chibana-hanaori.com/
引用:知花花織(https://www.chibana-hanaori.com/

読谷山花織

沖縄では紋織のことを花織という。琉球王国時代に南方から伝来した緯浮の織物。緯糸を浮かして文様をつくる。文様には、オウジバナ、カジマヤーバナ、ジンバナなどがある。一反作るのに2ヶ月ほどかかる。

読谷山ミンサー

ミンサーとは細帯のこと。沖縄には、絣のミンサーと紋織のミンサーがある。読谷山ミンサーは紋織のミンサー。グーシ(串)を使って文様部分の経糸をすくい緯糸を織り込む。経糸が畝状に浮くのが特徴

琉球びんがた

琉球王府時代に宮廷舞踏の衣装として発達した染物。琉球藍を用いた藍型と多色の顔料を使用した紅型がある。地染め以外の文様部分はすべて顔料使い。もとを一つ作って色をのせてていく。彩色した色の鮮やかさが特徴。元々は、琉球王朝の人しか着られなかった。沖縄唯一の染め。


首里織

首里織の名称には、首里花倉織、首里花織、首里道屯織、首里絣、首里ミンサーの5種類が含まれる。かつて絣織物の主産地は首里だったが、昨今は減少。首里織は技法的にも多岐にわたる。

琉球絣

琉球絣は南風原町の本部、喜屋武、照屋が中心となって生産している。絹絣と木綿絣がある。絣柄と色柄の多さは南風原産地の特徴。夏物が多い!
織物の内容にも全部意味がある。
例えば、
  • 銭形…一生お金に困らないように
  • 井桁…井戸。生活水に一生困らないように
  • ツバメ…お嫁に行っても里帰りしてねという意味。ツバメは里帰りする鳥
  • 扇…子孫繁栄
  • 風車…長寿

久留米紬

久留米島町で生産される植物染料のみを使用した絹織物。久留米紬は、喜如嘉の芭蕉布、宮古上布に続いて3番目に指定された国指定重要無形文化財。島の主要産業。手紡ぎの紬糸、泥媒染、高機で手織り。砧打ちをする。ゆうな染め

八重山上布

八重山上布は経糸にラミー糸、緯糸に手績み苧麻(ちょま)糸を用いる。絣技法としては、紅露の濃縮液を刷り込む技法と、手括りによる技法がある。両者とも澄み切った海の波打ち際で海晒しにする。

八重山ミンサー

八重山ミンサーは五つ四つの絣柄で有名な織物。元々は細帯から始まったが現在は、袋物や名古屋帯なども生産。ミンサーの源流は竹富ミンサー。嫁入りの時に旦那さん用に織って持参していた。「五つの四もムカデの足のように足繁く通ってください」という意味が込められていた。(妻問婚だったので)読谷山ミンサーとの違いは柄の違い。

宮古上布

経糸・緯糸とも手績みの苧麻糸使い。経糸の績み方と緯糸の績み方が異なる。十四算の細糸が基本だが、最近は従事者の高齢化によって系の繊度が太くなる傾向にある。

与那国織

与那国織には、与那国花織、与那国デゥタティ(縞織物)、与那国シダディ(手巾)、与那国カガンヌブー(ミンサー)の4種類が含まれる。

沖縄の染織物の証紙  

仕立てる時にこれらの証紙があるかチェックするのが大事!

大島紬について

大島紬のマルキについて

マルキとは大島紬において、経糸1240本に大しての絣糸の本数の単位のこと。1マルキは絣糸80本。単純にマルキ数が多いほど、経糸の中の絣糸の本数が多くなることと柄が細かくなるため織る手間(絣を合わせる手間)が増えるので高額になる。(絣の構成によって一概には言えない)
  • 5マルキで経糸の絣糸464本
  • 7マルキで経糸の絣糸576本
  • 9マルキで経糸の絣糸768本
絣糸が使われている本数=マルキ
1マルキ=絣糸80本。数字が大きいほどより細かい緻密な柄になる

マルキが多いほど高価なのか?

絣の構成方法と絣の本数や柄が同じ大島で比べればマルキの多い方が高価になるが一概には言えない!
例えば、大島紬を近くでよく見ると絣の形がTの字かもしくは、十の字になっている。
→Tの字の絣は『カタス』と言って絣糸の柄合わせは経糸、緯糸それぞれ1本で済む
→十の字絣の場合は『元(モト)』絣といい経糸緯糸それぞれ2本ずつ絣を合わせる。
ということは、2本合わせる元絣の方が何倍も手間と時間がかかる。
カタスで織られた9マルキの大島紬より、モトで織られた7マルキの大島紬の方が高価になる場合は多々ある。

亀甲

男物の本場大島紬は亀甲柄(亀の甲羅のような小さな六角形の連続柄)が代表的。亀甲柄に限ってはマルキではなく「○亀甲」という単位が使われることが多い。亀甲は「一反の布の幅に並んでいる亀甲の数」を表す。本場大島紬には、80亀甲、100亀甲、120亀甲、160亀甲、180亀甲、200亀甲まであり数字が大きいほど細かく緻密になる

大島紬の種類

片ス式(カタス式)

現代で最も多く流通している織り方。
絣の作り方:タテ絣糸1本とヨコ絣糸2本の交差で1つの絣を作る
絣の見え方:Tの字型の絣

一元式(ひともと式)

一元式では7マルキが限界と言われるほど高度な技法。同じマルキ数ならカタス式よりも模様が細かく立体的に見える。
絣の作り方:タテ絣糸2本とヨコ絣糸2本で1つの絣を作る
絣の見え方:風車のような十字の絣

割り込み式

割り込み式で織られた大島は割り込み絣と呼ばれる。難しい技法で熟練の織り手でも織れる人が限られている。
絣の作り方:タテ絣糸2本×ヨコ絣糸2本、タテ地糸2本×ヨコ地糸2本、タテ絣糸1本×ヨコ絣糸1本、タテ地糸1本×ヨコ地糸1本を繰り返す
絣の見え方:Tの字と十字が重なったような複雑で立体感のある絣

総絣

経緯絣の中でも全てのタテ糸に絣糸を用いたものを言う。絣をより白く浮かび上がらせ、柄に立体感、色に奥行きを表現できる。図案・設計〜織りまですべての工程で難しく手間がかかるため大変稀少。

緯絣

ヨコ糸だけで模様を織り出したものを言う。証紙では緯絣ではなく「織絣」と表記される。緯絣の絣は小さなヨコ線だけで柄にしていくのでデザインの自由度が高く様々な柄のものが織られている。

縞大島

縞大島は基本的に地糸(無地の単色染め糸)のみで織られる。このため絣糸をつくる絣締めの工程が発生しない。

ヤタラ(ジャジャ)織り

ヤタラ織りは、経緯絣や緯絣のために染められた絣糸の残糸を使用して織られる。そのため様々な色が入った着物を楽しめる。

大島紬の染め方について

泥染めと糸を括るのは力仕事なので男性が行う。女性は織り。

泥藍染め

植物藍で染めた後、泥染め。地色は泥染め特有の渋い黒地、模様の部分は藍色になる。「古代染色・純泥染」の証紙がつく

色泥染め

地糸は泥染め、模様部分には泥染めと化学染料染めで染め分けられた絣糸を用いる。化学染料が規定内の場合は「古代染色・純泥染」の証紙がつく

白泥染め

白泥染めは絣糸も地糸も泥染め、絣模様の部分のみが化学染料染め。白泥は薩摩焼の白薩摩という磁器で使用されている粒子の細かな土で揉み込むことで大島紬の特徴である風合いを出している。白泥大島は生産している各機屋さんの自社基準で染められていて各機屋オリジナルの白泥染め証紙が貼られている

草木染め

テーチ木や藍以外の草や木などの天然染料で染める。元々は甘味に自生するマングローブや櫨、小鮒草、梔子、福木、鬱金、ヒルギ、ホルトの木。サトイモガラなどで染められてきた。
「古代染色・純植物染め」の証紙+植物名が記載される

正藍染め

植物藍だけで染めたもの。正藍染の本場大島紬には「古代染色・純植物染め」の証紙がつく

大島紬の証紙について

所感

  • 染織講座は初めて出席した。大島紬についても詳しく知ることができてよかった。今年は大島紬に縁がある気がしているので少し欲しい
  • マルキの説明とかなるほどとわかりやすかった。しっかり良さがわかった上で買いたいな大島は。
  • 創作展今回会場遠いしあんまりいくつもりなかったけれど、手ごろな夏帯手に入るならってことで行くことにした。先生に相談したところ、予算内くらいで買えるように紹介するわと言ってもらえたので。夏の着物着る期間も短いしあんまり高いのは買いたくないって話をしてわかってもらえてよかった。夏の免許授与式用の袋帯買う予定。
  • ちょうど家に帰ったら、誂えていた絽の訪問着が仕立て上がって明日届くって連絡が来たので楽しみ!
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